犯罪や交通事件の被害にあわれた方へ
おひとりで何もかもを抱えてしまいませんように
もし「あなた」が、また、「あなたの大切な人」が「事件・事故にあってしまったら」どうなってしまうのでしょうか?
さまざまな不安から、「今どうなっているのか」「何をすべきか」考えることもできない状態になります。
あいポートの臨床心理士が「被害後の心理的な変化」「今後の対応」についてこれから説明します。
これ以上つらい思いをされませんように。
あなたにあった支援を、私たちは一緒に考えたいと思っています。
当センターS.Yからのメッセージ
被害後の心理的な変化と対応について
強盗、性暴力被害、暴力事件など重大な犯罪に巻き込まれることは、今までに体験したことのない大変つらい経験です。
どうしたらよいかわからなくなり、これまでのような生活ができなくなったり、さまざまな心理的な変化がおこったりします。
激しい怒りや憤り、哀しみ、無力感、自己批判、罪悪感などの感情があふれることもあれば、いきいきとした感情が感じられないという変化が起こることもあります。
このような変化に不安や戸惑いを感じるかもしれません。
しかし、これらは、重大な犯罪に巻き込まれたときにおこる心理的な変化です。
犯罪に巻き込まれたときに起こる心理的な変化と対応について説明をします。
少しでもお役に立てればよいと思います。
心理的な変化
重大な事件や事故にあうことは、個人の対処能力を超えるものです。
そのため、心理的な影響として、次のような変化が起こりやすいといわれています。
自分自身が変わってしまったのではないかと不安や戸惑いを感じるかもしれません。
しかし、これらは、重大な犯罪に巻き込まれたときに、おこりやすい心理的な変化です。
1. 今までのように感情が感じられない
- 生き生きとした感情が感じられない
- ぼーっとしてしまう
- 現実感がない
- 人と話していても、なにか膜があるような感じがする
2. 事件を「再体験」してしまう、「フラッシュバック」がおこる
- 急に事件のことを思い出して苦しくなる
- 事件を再体験しているような感覚や錯覚に陥り、苦しくなる
- 事件についての恐ろしい夢を見る
3. 活動や対人関係を避けてしまう
- 事件を思い出すような活動、場所、人物を避けてしまう
- 仕事など重要な活動ができなくなる
- 人との交流をさけてしまう
4. 著しい不安におそわれたり、過度に覚醒している状態が続く
- 眠れない
- イライラする
- 怒りが爆発する
- 集中できない
- 物音に過敏になる
対応の仕方
1. まず、心身の安全を確保することが大切です(事件の直後は特に大切です)
身体的な外傷や外傷の可能性がある場合は、外科や婦人科などの医療機関を受診することが大事です。
これは、感染症を予防し、後に診断書が必要な場合にも役立ちます。
再度、犯罪に巻き込まれるような状況から避難し、安全を確保してください。
2. 一人で問題をかかえこまないで相談してください。情報を得ることも大切です。
相談できる人が身近にいらっしゃいますか?
相談できる人がいらっしゃる場合は一人で問題をかかえこまないで、相談してみましょう。
身近な人にはかえって話しにくいこともあります。
このようなときは、相談機関を利用してみてください。
捜査や裁判、利用できる制度など、わからないことがいろいろあるかもしれません。
これらの必要な情報を聞くことが、不安を和らげることにつながります。
3. 自分の気持ち、自分のペースを大事にしてください
こんなことはありませんか?
- 事件を思い出すような活動、場所、人物を避けてしまう
- 仕事など重要な活動ができなくなる
- 人との交流をさけてしまう
事件や事故に巻き込まれることは大変つらい出来事です。
上記のような心理的な反応が起こるのは、とても自然なことです。
怒りや哀しみを無理に抑える必要はないのです。
しかし、家族や周囲の人にこのような気持ちを話すことは、相手を悲しませるようで話しづらいかもしれません。
電話相談を利用したり、カウンセリングを受けたりすることが、役立つかもしれません。
周囲の人から、「がんばって」とか「いつまでくよくよしているの」と言われることがあるかもしれませんが、被害にあった苦しみを受けとめるには時間がかかります。
焦らないで、自分を責めないで、自分のペースを大事にしてください。
また、事件や事故が世間の注目を集める場合、マスコミへの対応を考えることも、被害を拡大しないために必要です。
被害者の家族の方へ
事件や事故にあい、被害を受けた人はとても傷ついています。周囲の言葉や対応に敏感です。
まず、安らぎを与えられるように心掛けてください。
事件や事故によって、家族の方も大きなショックを受けていらっしゃると思います。
気持ちの整理ができず、「あなたがしっかりしていればこんな事にはならなかった」など、被害を受けた方を責めることがあります。
しかし、これは被害を受けた方を追いつめ、被害からの立ち直りを遅らせます。
けして、責めないでください。
また、「守ってやれなかった」とご自分を責めることもあります。
場合によっては、家族の方が被害を受けた方以上に傷つき、上記のような<心理的な変化>がおこることがあります。
被害を受けた方に、どのように接すればいいのかと悩むこともあります。
家族の方には、被害を受けた方の他に、事件や事故について安心して話せる相手が必要です。
ひとりで抱え込まず、必要なときは相談機関を利用してください。